人生を半分あきらめて生きる_心の忍耐力を上げる方法







「人生を半分あきらめて生きる」諸富祥彦 著作


■あきらめるという意味

この本には「あきらめる」という記載があるが、あきらめるという言語は本来、「ものごとの真実の在り様を明らかに見る」という意味がある。

仏教用語の「真理を観察して明らかに見る」という意味であったものが、明らむという使い方にされていったとのことだ。

つまり、まずは事実を明らかにしましょうという事である。

縮小社会である今、働けばお金が増えて、その生活は保証される昔とは違う。

仕事が真面目でも一瞬で会社が傾きリストラされるなんて簡単に起こる。地震や火事等、予測不可能な事態も在りうるというのが本来である。その本来に対し て、自分に責任はない。

しかし、頑張れば報われるというような様々な選択肢が提示されているように思わせている社会の為、
実際に自分が思うように物事が進む選択肢が出来るのは一 部の恵まれた人である。

誰しも学校、会社、賞、恋愛、友人、学業、スポーツ等が思うように進んでいるだろうか?
恋愛で言えば絶対にこの人と結婚出来るなんてないし、結婚しても昔 は良かったのにとか気持ちは変化する。
年相応に体力は落ちるし病気もする。

視力がいいと思っていても年相応に視力は落ちるし老眼にもなる。

■笑い話の例

例えば、運動会のお父さんは走るとバタバタこける。
昔、走れた記憶のまま頭は動いているが足はもうとてもじゃないがついていけてない。

頭と体が結びつかないから体が無理してこけるのだが、お父さんは理解してない。
そして、運動会の終わった夜に散々家族に笑われてから気付くのだ。年をとっ たな〜と。
子供の時は笑っている側でも一転立場が変われば郷愁である。

誰しも何かを諦め、理解し進む。年をとれば出来ない事は増える。本来は何かを目標にして諦めながら人生は進むのである。

にも関わらず、諦めたあなたが悪いとか、選択したあなたが悪いか、リストラされたあなたが悪いとか、
頑張らなかったあなたが悪いとか、何もかも自分が悪い というような理解されない社会面がある。

(そう、思わない人は順調に過ごしいるから、まだこの本は読まなくていいでしょう。
また、そうだな〜と思う人も受容があるから読まなくてもいいでしょう。 問題は何かを許せないと反感を持った場合のようです。)

■あきらめるとは

あなたは悪くはないのです。上手にあきらめていく事が必要なのです。

その時にエブァンゲリオンの碇シンジのように逃げちゃだめだ、逃げちゃだめだと
自分を追い込んで自分にだめ出しする自分がいるが、それが鬱の始まりだそう です。

逃げていいんです。逃げないと力は戻ってきません。

諦めたくても過去を振り返り気持ちを落とす。未来を考えても気持ちを落とす。
周りと比べて、普通と違うからさらに気持ちを落とす。友達と疎遠になり鬱にな り体調を崩す。
1人旅行をしても自分の中の自分がまた追いかけてくる。そんな諦めきれない気持ちが何故自分に沸くのか?
何故、自分を許せない気持ちが沸く のか?

その時に、先に示した仏教用語の明らかにする事が大事である。

なにが自分は明らかになっていなくて、何にこだわり、何を捨てられず、何を受け入れられないかをまず観察する。

次に整理してもう一度確認する。

確認し、諦める。受けいれれる。そういう諦めるサイクルを上手に持ち、
心の安定化をはかる気持ちを持つことで自分に力が再び戻り、鬱が改善するということ だ。
頑張っても変わらない事は変わらない。まっそうだよね。まっいっか。その気持ちが大事である。

■精神医療という見解からみて

筆者は精神医療という立場でこの本は書いているし、実際に仕事として担当しているようだ。

死についても書いており人によってはこの本を読むとめげるかもしれない。
死に対してあまりにも実直に向き合うからだ。めげるのが本来だと思う。

この本では本来自分が大切にしているものをもう一度思い出させ、何を大事にするか再度導く。
その上で全部ではなく、半分、半分の半分でもいい。絶対に譲れ ない大切な支えを元によりよく生きる大切さを話している。

全部捨てるのはお釈迦様ぐらいで通常人が関わる世の中ではありえない。

鬱になる人は理想と現実の海里が遠く、受容出来ない人が多いとの事。また、人は挫折に弱くもろい。

人生とは一瞬で百八十度変わるものである。

鬱で来る患者の多くは例えば、一流の会社で働き順風満帆であったが会社が傾きリストラされた。真面目に働いていたのに。

結婚予定の相手が去り、再就職しても給料が半分に下がり、以前のような大企業ではないため、
上の目を見て話すし、上からあれこれ言われる。
また、顔に自信 がないから服装や小物等の身なりで補っていたがお金が減って工面出来ず、
食べ物も変更し体調不良になりいつからか朝起きれなくなる。

鬱の人は朝弱く、夕方から気持ちが安定する。薬で対処すれば回復は早いのだか
碇シンジのように逃げちゃだめだと頑張り続ける人が来院しない為に深刻になる ようだ。

そんな患者を何人も見た著者が、カウンセラー経験から意識の差で自分が変わり耐久力がつく事をすすめた本である。

タイトルを見て、周りから見たらなんて本を読んでいるんだ?と驚かれるかもしれない。

しかし、生きるとは驚きの連続である。受け止めて、自分の中の大切なものを探そう。

譲れない大切な自分の気持ちを育むのは自分にしか出来ない大切な事。

せっかく生まれた人生。自分をコントロールし豊かに生きる為にも見返してはどうだろうか。
同じ人生は二度とないのだから、大切にしよう。(^O^)




元のページに戻る。